――入社して十数年になりますね
はい。ずっと「アートパール」という製品の開発に携わってきました。
今は課長補佐として、部下4人の開発をマネジメントしています。
――アートパールを簡単に説明してください
アートパールは根上工業のパテント製品。架橋アクリルもしくは架橋ウレタンの微粒子です。
「真球状に架橋したポリマー」というのがアートパールの特徴。樹脂などの基材に添加することで、物性を向上させたり、光の反射など表面の改質に効果を発揮する製品です。組成や粒径を変化させることで、基材に様々な機能や性能を付加できます。
塗料や接着剤、化粧品、近年では電子部品、半導体向けに供給されています。
――最近はどんな製品を開発しましたか?
ちょっと画期的な製品として、アートパールの「真球状架橋ポリマー」技術を利用した『潜熱蓄熱マイクロカプセル』があります。セラミックスやチタンなどの蓄熱物質を高分子のシェルで真球の微粒子状にカプセル化した製品です。
――どんな用途があるのですか?
例えば省エネルギーの観点から自然エネルギーの活用が注目されている中、太陽熱を蓄熱し熱マネジメントを行うことで室内環境を適正に保つことができる住宅市場。壁、天井、床などの建材で使用が見込まれます。更に高温での熱マネジメントに適した製品を開発中で、自動車や電子デバイス市場などにも用途が広がるでしょう。
他にも「低誘電特性」を発揮できるアートパールの開発にも成功しました。次世代通信(5G)向けの材料として注目を集めています。
――「環境」も重要なテーマですね
EUでは今後化粧品分野でマイクロプラスチックを配合した製品が禁止される可能性があります。その代替物として、生分解できる天然由来のセルロース微粒子の開発に成功し、製品化しました。最大の特徴は「真球状」の微粒子であること。ここでもアートパールの技術を応用しました。
――求めているのはどんな人材?
「化学が好きな人」――このひと言に尽きます。